建設業経理士1級の財務分析をこれから受験しようと思っている方。
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
私は建設業経理士1級の最後の受験科目に財務分析を選択しましたが、暗記科目が大の苦手な私には他の2科目より財務分析にかなり苦手意識を持っていて、本当に合格できるんだろうかと不安でした。
そんな私でも受験後は、財務分析が3科目の中で1番簡単と思えるくらいにはなったので、これを読んでいただいて少しでも財務分析の苦手意識を減らしていただければと思います。
財務分析の勉強方法
私の財務分析の勉強方法は以下の通りです。
- 比率を覚える
- 過去問を大問ごとに解く(ヨコ解き)
- 何の分析かを覚える
- 過去問を回ごとに解く(タテ解き)
では詳しく説明していきます!
①比率を覚える
比率は最初から完璧に覚えなくてもいい
建設業経理士検定のホームページ内の出題範囲等に記載されている「財務分析主要比率表」を覚えます。
これを覚えないことには問題を解くことはできません・・・。
とは言え、馴染みのない比率をいきなり全て覚えろと言われてもなかなか難しいですよね。
なので、最初は完璧に覚えなくてもいいのである程度覚えればOKです。
ちなみに比率の単語帳を作るときは、比率だけでなく比率の意味も一緒に書くと頭に入りやすいです。
分析の種類ごとの覚え方のポイント
私がどんな風に覚えていたか、一部紹介しますね!
【安全性分析】
保有月数や滞留月数や月商倍率など「月」が付くものは、分母が完成工事高÷12となる。
【活動性分析】
〇〇回転率は、分子が完成工事高となる。
【生産性分析】
・設備投資効率の場合は、設備投資(有形固定資産)が分母で・・・後にきている効率(付加価値)が分子となる。
(設備=有形固定資産、効率=付加価値)
・労働装備率の場合は、労働(総職員数)が分母で・・・後にきている装備率(有形固定資産)が分子となる。
(労働=総職員数、装備=有形固定資産)
期中平均を覚える
比率だけ覚えても、期中平均なのかそうでないのかも覚えないと正解にはならないんですよね。
覚え方としては、分析の種類(収益性分析、安全性分析・・・etc)ごとに考えると覚えやすかったです。
例えば・・・
【収益性分析】
分母が資本の場合は期中平均(分子の利益は平均を使わない)、そのほかの比率は期中平均を使わない。
【安全性分析】
安全性分析の中の
流動性分析は「営業キャッシュ・フロー対流動負債比率」のみ期中平均を使う。
健全性分析は期中平均を使わない。
【活動性分析】
〇〇回転率の、分母はすべて期中平均を使う。(分子は完成工事高)
【生産性分析】
付加価値率以外は分母に期中平均を使う。(分母=総職員数、有形固定資産、総資本)
②過去問を大問ごとに解く(ヨコ解き)
まずは第五問
ある程度比率を覚えたら、過去問の第5問を解きます。
第5問は比率さえ覚えていれば簡単に解ける問題です。
最初は全然問題が解けなくてガッカリしますがそれで大丈夫です(笑)
答えを見ながら何回分か解けば、だんだん解けるようになってきます。
第5問が解けるようになってきたら、次は第3問、第3問が解けるようになったら第4問、と論点ごと順番に解いていきます。
ここまでくれば比率はかなり覚えられているはず。
間違いやすいところのチェック
ここまでで、なかなか覚えられなかったり、よく間違える単語を洗い出して、単語帳の前のページに間違えやすいリストとして書いて覚えていきます。
例えば私の場合、間違えやすかったのが・・・。
・借入金・・・短期借入金+長期借入金+社債
・有利子負債・・・短期借入金+長期借入金+社債+新株予約権付社債+コマーシャルペーパー
以下の比率は意味と一緒に考えると覚えやすかったです。
・立替工事高比率・・・現在進行中の工事と完成、引き渡し済みの工事を含めた資金立替状況を示す比率
分子=資金立替=受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金-未成工事受入金
分母=完成、引き渡し済み=完成工事高(完成引き渡し済み)+未成工事支出金(現在進行中)
この比率はよく出るので必ず押さえておきましょう!
・運転資本・・・企業の経常的な経営活動を円滑に遂行するために必要な資金。
運転資本=流動資産-流動負債
・必要運転資金・・・営業活動に必要な正味運転資本
受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金-(支払手形+工事未払金+未成工事受入金)
上記2つは似ていて間違えやすいので注意が必要です。
③何の分析かを覚える
その比率がどの分析(収益性分析、安全性分析、活動性分析、生産性分析、成長性分析)なのかを覚えていきます。
たとえば安全性分析だったら、流動性分析と健全性分析と資金変動性分析があり、さらに流動性分析は関係比率分析、資金保有月数分析、資産滞留月数分析に分類されますよね。
ただ私の場合、上記のように順を追っていけば覚えられるんですけど、資産滞留月数分析はどの分析か?といきなり聞かれると、分からなくなっちゃうんですよねー。。。
覚え方としては、単語帳に書いて覚えるよりもA4用紙など大きめの用紙にチャート図のように書くと、全体を把握しやすく覚えやすかったですよ!
④過去問を回ごとに解く(タテ解き)
ここまできたら、第2問~第5問までを一通り解いてみます。
最低でも過去問10回分はやったほうがいいです。
それを出来れば2周すると、合格ラインには到達しているはず。
第3問対策、方程式の解き方
第3問が苦手!という方いませんか?
昔習ったと思うけど、数学が苦手な私は解き方をさっぱり忘れていたんです(^_^;)
その中で私がまずつまずいたのが、分数の一部がXの場合です。
(そんな簡単な問題も解けないのかい!と思う人はこちらはスルーしてください(笑))
もし、私と同じように方程式に苦手意識を持っている人がいたら、簡単ですが以下に解き方を書いてみます。
ポイントを押さえれば複雑な問題が出ない限り大丈夫なはず!
ポイントというのは分数がでてきたら、まずは分母をはらう!こと。
以下の方程式の場合・・・
分母にあるXを両辺に掛ければ、左側の分数は分数ではなくなるのであとは簡単。
方程式が解けるようになって、過去問を解きまくれば最初は一番苦手だった第三問が、一番すきになっているはず・・・!?
第1問、記述対策
建設業経理士検定1級を勉強する人の中には、記述対策なしで挑むという作戦もあるようです。
第一問以外で必ず80点以上を取れる自信がある人や、一度で受からなくても何度か受けて合格できればいい、という人なら良いかもしれませんが、基本的にはおすすめしません。
もし記述以外で68点で、あと2点取れていれば・・・!なんて状況になったとしたら、私だったら記述の勉強をしとけばよかったと思います(笑)
ちなみに原価計算の自己採点では第一問以外で58点だったので、第一問で12点以上は取れていることになります。
その時の第一問のうち1問は書いたものの的外れな事を書いてしまったかも・・・と全く自信がなかった状況での合格だったので、結果として第一問に救われた形になりました。
なので時間があったら、記述対策はしておいた方が良いです。
満点は狙わなくても、10/20点は取れる目標で。
さて、記述対策とは何をするか私の勉強方法をご紹介します。
単語帳を使って暗記する
上記で書いた比率を覚える時に使った単語帳の、記述対策バージョンを作成して覚えました。
単語帳に書く内容としては以下の通り。
- テキストの太字のところ
- 概説書の問題
- 過去問の第一問
そのほかにも、重要そうだと思ったところを書き写していました。
単語帳の一部を載せておきます。
安全性分析とは?またその区分。
流動性分析の分類と意義。
流動比率と当座比率の意義。
健全性分析とは。またその分類。
健全性分析のうち、固定資産と長期的な調達資本とのバランスに関する2つの比率。
資金変動性分析が安全性分析において必要となる理由。
毎日暗記する時間を作る
私の場合は約半年間、毎日の通勤時間の15分弱を使って暗記していました。
直前期以外は自宅ではやっていません。
私の場合は、計算に集中して暗記の時間を取らないとすぐに忘れてしまうので、隙間時間などの少しの時間でも毎日やるのが大事だと感じました。
覚える時はノートに書く
可能ならノートに書きながら暗記することをお勧めします。
というのも、いざ実際に解答用紙に書こうとすると漢字が間違っていたり覚えてなかったりするからです(笑)
漢字が間違っていたら減点になるのかは分かりませんが・・・確実に点数を取るために漢字もしっかり覚えましょう!
試験で問題を解く順番
問題を解く順番については、いろいろ考えた結果、以下の順番が落ち着いて解けました。
①第5問-1
比率を覚えていれば解ける問題。
ここで頭を慣らして普段の感覚を掴みます。
ちなみにここで第1問の問題を見てしまうと、分からない問題だった時に頭が真っ白になって他に集中できなくなる可能性があるので(原価計算で経験済みです(笑))、最後まで問題は見ないようにします。
②第3問
比率から、B/SとP/Lの勘定科目の金額を求める穴埋め問題。
慣れてしまえば解くのが楽しくなる問題。
とっかかりが見つかれば、そのあとはスラスラと解けます。
③第4問
生産性分析か損益分岐点の計算問題。
過去の傾向を見ていると、生産性分析と損益分岐点分析がほぼ交互に出ていて(損益分岐点分析が連続することはあっても、生産性分析が連続したことはない)、損益分岐点分析が難化傾向にあり。
4問のうち最初の1問が解けないと後の問題が解けないパターンが多いので、注意が必要。
私の場合は、損益分岐点分析の問題で1問目が完成工事高を求める問題が解けないことが多かったので、直前期はそこを重点的に勉強しました。
④第2問
理論の選択問題ですが、たまに正誤問題も出題されることがあります。(私はこの回にあたって若干焦りました)
計算問題がすんなりと解けていれば、ある程度時間に余裕があるので、じっくりと解くことができます。
⑤第5問-2
これも第2問と同じような選択問題。
生産性分析の分解問題が出たらラッキー!?
たまに意地悪な問題もでてくるので、配点も少ないのでそういう問題が出たら後回しにします。
➅第1問
一番苦手な記述は最後に。
持ってる知識を総動員して書いていきます!
分からなくても、とにかく何か書くようにします。
まとめ
財務分析の勉強方法は、
- 計算問題は過去問をひたすら解く
- 記述対策は単語カードを使って覚える
以上です!
最初は3科目の中で一番苦手・・・と思っていた財務分析ですが、最終的には上記の方法で過去問をほとんどの回で第一問以外で70点以上取ることが出来るようになりました。
これから財務分析を受験される方の参考に少しでもなれば幸いです。