この記事では、こんな疑問を解決していきます。
私も試験勉強をしている時、夫から「簿記って何?」って質問されたことがありました。
簿記を知らない人からしたら、なかなかイメージがつきにくいかもしれませんね。
簿記とは
簿記とは、「物を買ったり売ったりする」という日々の取引を、帳簿というノートに記録することです。
「帳簿」に「記録」するから「簿記」ですね。
会社が行う日々の取引には
- 商品を仕入れる
- 商品を売る
- 消耗品を買う
- 水道光熱費を支払う
- お給料を支払う
など、この他にもさまざまなものがあります。
上記の取引を帳簿に記入する場合の例を以下にあげてみますね。
- 商品を仕入れる
【取引1】
お花を1,000円を現金で仕入れた
【帳簿に記入する内容】
①1,000円分のお花を仕入れたこと、②1,000円現金が減ったこと
--------------
- お給料を支払う
【取引2】
従業員にお給料を100,000円振り込んだ
【帳簿に記入する内容】
①給料(費用)が発生したこと、②預金残高が100,000円減ったこと
取引を記録する際は、1つの取引を2つに分けて記録していきます。
このように日々の経営活動を記録して、最終的には会社の経営成績(会社の利益)と財政状態(会社の財産)を明らかにします。
そのためには貸借対照表や損益計算書といった書類を作成することになるのですが、これらの書類を作成するまでの作業が簿記になります。
借方・貸方とは?
簿記では日々の取引を記録する際に、取引内容を左と右に分けて記録していくのですが、その左側と左側の呼び名を「借方(かりかた)」・右側を「貸方(かしかた)」と言います。
「借方」・・・かりかたの「り」の「はらい」が左を向いている → 左側
「貸方」・・・かしかたの「し」の「はらい」が右を向いている → 右側
というように考えると、覚えやすいですね!
これは、私が高校生の時に簿記の先生に習った方法ですが、あれから十数年経った今でも鮮明に覚えているのでおすすめです。
それでは、「簿記とは?」で解説した取引について、実際に左側と右側に分けてみましょう。
【取引1】
お花1,000円を現金で仕入れた
【帳簿に記入する内容】
①1,000円分のお花を仕入れたこと、②1,000円現金が減ったこと
→ 仕入 1,000 / 現金 1,000
--------------
【取引2】
従業員にお給料を100,000円振り込んだ
【帳簿に記入する内容】
①給料(費用)が発生したこと、②預金残高が100,000円減ったこと
→ 給料 100,000 / 普通預金 100,000
取引を記録する際は、取引内容の詳細を書くと長くなってしまうので、わかりやすく簡単に表現した「勘定科目」という科目を使用します。
このように、取引を借方と貸方に分けて帳簿に記録していくことを「仕訳」といいます。
簿記検定の種類と違い
簿記検定の種類は複数あり、どれを受けたらいいの?と思われる人もいるのではないでしょうか。
まず簿記検定には以下の3種類があり、それぞれ主催者が異なってきます。
- 日商簿記検定
- 全経簿記能力検定
- 全商簿記実務検定試験
また、各検定の難易度としては高い方から
日商簿記検定>全経簿記能力検定>全商簿記実務検定試験
と言われています。
ここでは、簿記検定の種類と詳細について解説していきますね。
日商簿記検定
主催者 | 日本商工会議所 | ||
試験月 |
※1級は6月と11月のみ実施 |
||
試験科目・受験料 | 1級 | 商業簿記/会計学 | 7,850円 |
工業簿記/原価計算 | |||
2級 | 商業簿記/工業簿記 | 4,720円 | |
3級 | 商業簿記 | 2,850円 | |
簿記初級 | 2,200円 | ||
原価計算初級 | 2,200円 | ||
合格基準 | 100点満点中70点以上
※1級のみ1科目ごとの得点は40%以上 |
||
対象 | 一般社会人 |
簿記と言えば日商簿記と言っても過言ではないほど、日商簿記検定は3種類の中でも最も知名度が高い資格です。
また、受験者数が年間約60万人と一番多く、社会的に評価されている資格でもあります。
転職サイトで見てみると、簿記有資格者を対象条件としている企業の多くは、日商簿記●級以上としているところがほとんどです。
ですから、これから簿記検定を受けたい・勉強したいと思っている方は、日商簿記を勉強することをおすすめします。
全経簿記能力検定
主催者 | 公益社団法人 全国経理教育協会 | ||
試験月 |
※上級は7月と2月のみ実施 |
||
試験科目・受験料 | 上級 | 商業簿記/会計学 | 7,800円 |
工業簿記/原価計算 | |||
1級 | 商業簿記/会計学 | 2,600円 | |
工業簿記/原価計算 | 2,600円 | ||
2級 | 商業簿記 | 2,200円 | |
工業簿記 | 2,200円 | ||
3級 | 商業簿記 | 2,000円 | |
基礎簿記会計 | 1,600円 | ||
合格基準 | 100点満点中70点以上
※上級のみ、各科目の得点が40点以上かつ4科目の合計得点が280点以上 |
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対象 | 主に専門学校生 |
全経簿記検定の対象は主に専門学校生となっているため、学生から社会人まで幅広い受験者層に人気の日商簿記に比べ知名度もそれほど高くはなく、初めて聞く方も多いと思います。
初めて勉強するなら日商簿記がおすすめですが、全経簿記をおすすめするケースもあります。
例えば「税理士試験への受験資格が欲しい」という場合です。
日商簿記1級の試験合格者には税理士試験の受験資格が付与されるのは知っている方も多いかもしれませんが、実は全経簿記上級の試験合格者にも税理士試験受験資格が付与されるのです。
日商簿記 | 全経簿記 | ||
回 | 合格率 | 回 | 合格率 |
156 | 13.5% | 199 | 15.40% |
153 | 9.8% | 197 | 15.27% |
152 | 8.5% | 195 | 16.28% |
150 | 9.0% | 193 | 16.17% |
149 | 13.4% | 191 | 16.59% |
日商簿記と全経簿記の合格率を比較してみると、日商簿記が10%前後なのに対し、全経簿記は15~16%となっています。
上記からわかるように全経簿記の方が難易度が低めですので、もし「日商簿記1級にチャレンジする自信がない」・「日商簿記1級を受験したけど不合格だった」という場合には、全経簿記を受験してみるのもいいかもしれません。
全商簿記実務検定試験
主催者 | 公益財団法人 全国商業高等学校協会 | ||
試験月 |
|
||
試験科目・受験料 | 1級 | 会計 | 1,300円 |
原価計算 | 1,300円 | ||
2級 | 会計 | 2,200円 | |
3級 | 会計 | 2,000円 | |
合格基準 | 100点満点中70点以上 | ||
対象 | 商業高校の生徒 |
全商簿記検定は、商業高校に通う生徒を対象としており、試験内容は高校で使用している教科書にもとづいて出題されます。
主には高校生の日々の勉強の成果を示すための試験ですので、社会人の方がわざわざ全商簿記を受験するというケースは稀ではないでしょうか。
ちなみに私は商業高校出身でしたので、学生時代に全商簿記1級の会計を取得していました。
数年後に転職活動をした際、全商簿記の資格は履歴書には書けるけど、強みにはなりにくいのかなと感じました。
これから簿記を勉強するなら日商簿記がおすすめ
簿記検定の種類は3種類あり、難易度が高い順に並べると
- 日商簿記検定
- 全経簿記能力検定
- 全商簿記実務検定試験
となります。
一番知名度が高くメジャーな試験は日商簿記検定です。
難易度は一番高くはなりますが、就職・転職の際も有利になるスキルですので、これから勉強しようと思っている方はぜひ日商簿記にチャレンジしてみてください!